現物分割とは?メリット・デメリットと手続きの流れを司法書士がわかりやすく解説

土地・建物などの不動産の相続が発生し、
・土地・建物を売らずに分割できる?
・土地・建物共有名義は避けたい…
・土地を分筆すれば公平になる?
・土地・建物の相続登記はどうすればいい?
とお悩みではありませんか。

現物分割は、相続財産を売却せずにそのまま取得する遺産分割方法です。
土地・建物などの不動産の相続では、現物分割はまず検討される原則的な方法ですが、相続の方法の選び方を誤ると相続人間の将来的な共有トラブルや税務負担につながります。

本記事では、
・現物分割の意味と法律上の位置づけ
・他の分割方法との違い
・分筆が必要なケース
・相続登記義務化(2024年施行)への対応
・二次相続を見据えた判断基準
まで網羅的に分かりやすく解説します。

現物分割とは?メリット・デメリットと手続きの流れを司法書士がわかりやすく解説
菊地 正志

この記事のライター

菊地 正志

江戸川葛西相続法律事務所の代表弁護士。第一東京弁護士会所属。株式や不動産の遺産分割や相続トラブルを得意とする。全弁護士の1%以下しかいない弁護士、税理士、会計士準会員の「トリプルライセンス」を保有している。小学生の頃に水球を始め、そこで培ったタフな交渉力が強み。明治大学法学部卒業・明治大学法科大学院卒業。

現物分割について

現物分割とは

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法です。

たとえば、

  • 長男が実家の不動産を取得
  • 次男が預貯金を取得
  • 長女が株式を取得

といった形で分割します。

土地を分筆して複数の相続人が単独取得するケースも、現物分割の一種です。

被相続人の財産は、相続の発生により、相続人の共有となります(民法898条)。そのため、遺産は、共有物の分割と同様に、現物で分割することを原則としています(民法258条2項)。
家庭裁判所でも、まず現物での分割が検討されます。

【大和証券HP『現物分割』】
https://www.daiwa.jp/glossary/YST2141.html

他の分割方法との違い

方法 内容 向いているケース
現物分割 財産をそのまま取得する 不動産を残したい
代償分割 取得者が代償金を支払う 公平性を重視
換価分割 売却して現金分割する 揉めそうな場合
共有分割 共有名義にする 原則おすすめしない

特に「共有」は将来的なトラブルの原因になります。

  • 相続財産の売却に全員の同意が必要
  • 相続財産の管理費や固定資産税で揉める
  • 相続財産の二次相続で権利関係が複雑化

【一般社団法人 相続解決支援機構HP、『【要注意】相続不動産の共有名義はデメリットしかない!?トラブル回避できる遺産分割方法を解説』】
https://www.souzoku.or.jp/405/

現物分割のメリット

① 手続きが比較的シンプル

売却が不要なため、
遺産分割協議 → 相続登記
で完了するケースが多いです。

② 費用を抑えられる

売却時の仲介手数料・譲渡所得税が不要。

③ 思い出の不動産を残せる

先祖代々の土地や実家を守れます。

④ 単独所有にできる

単独所有なら自由に活用可能。

現物分割のデメリット・注意点

① 評価額の不公平

不動産の評価が高額な場合、他の相続人とのバランスが崩れます。
→ 代償金で調整する方法もあります。

【一般社団法人 相続解決支援機構HP、『相続不動産の遺産分割方法と評価額。代償分割・換価分割・現物分割・共有名義それぞれのメリット・デメリット』】
https://www.souzoku.or.jp/339/

② 分筆の法的制限

土地の分筆には、

  • 最低敷地面積
  • 建ぺい率・容積率
  • 接道義務

などの都市計画法の制限があります。
(参照)https://www.asia-jyuhan.jp/blog/entry-397073/
事前確認が必須です。

③ 相続登記義務化(2024年4月施行)

相続開始から3年以内に登記する義務があります。
違反すると10万円以下の過料を科されます。

【法務省HP、不動産を相続したらかならず相続登記!】
https://www.moj.go.jp/MINJI/souzokutouki-gimuka/index.html

④ 登録免許税0.4%

固定資産税台帳に登録された価格 × 0.4%

(国税庁HP No.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

二次相続リスク

将来、再び相続税の対象になります。

【日税ジャーナルオンラインHP『一次相続の登記前に二次相続が発生した場合の取扱いについて』】
https://nichizei-journal.com/one09/%E4%B8%80%E6%AC%A1%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E3%81%AE%E7%99%BB%E8%A8%98%E5%89%8D%E3%81%AB%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E3%81%8C%E7%99%BA%E7%94%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%81%AE%E5%8F%96/

現物分割が適しているケース

  • 土地が広く分筆が可能である
  • 土地の評価額差が小さい
  • 相続人の関係が良好である
  • 実家に住み続ける人がいる

現物分割の手続きと流れ

① 相続人調査

戸籍の証明書の取得

② 財産調査

固定資産評価証明書の取得

③ 遺産分割協議

協議・話し合いによる土地・建物の所有者を決定

④ 協議書作成

書面に相続人全員の署名押印が必要

⑤ 相続登記

3年以内に法務局へ申請

⑥ 相続税申告

10か月以内に申告

【法務省民事局、登記申請手続のご案内 (相続登記①/遺産分割協議編)】
https://docs.google.com/document/d/1lR-yCt1ZfX49Ze86LxKNFAmJwtCYhxbL4nekGOfF54Y/edit?tab=t.0

税務上のポイント

  • 小規模宅地等の特例確認
  • 土地の分筆による評価の変動
  • 二次相続への対策
  • 相続開始から10年間放置のリスク(民法改正)

現物分割を選ぶ際のチェックポイントと対策

  • 早期の専門家介入
  • 代償分割の併用
  • 遺産分割協議書の精密作成
  • 将来の相続まで設計

まとめ

現物分割は、

  • 不動産相続の原則的方法である
  • しかし共有や税務リスクがある
  • 分筆可否の確認が重要である

誤った選択は将来のトラブルを招きます。

江戸川葛西相続法律事務所へご相談ください

江戸川葛西相続法律事務所は、東京都江戸川区の東西線・西葛西駅に所在し、現物分割を含む遺産分割や相続税を見据えた相続対策に強みを持つ、日本に150人程度しかいない弁護士、税理士、日本公認会計士協会準会員のトリプルライセンスを保有する代表が運営する法律事務所です。
相続財産の価格の算定や、代償分割・現物分割・換価分割の選択や相続人間の対応など、遺産分割特有の問題にも豊富な実務経験があります。
相続人間の話し合いが難航しているケースや、相続登記の申請手続きに不安がある場合も、法的観点から適切にサポートいたします。
遺産分割手続でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

よくある質問

土地を分筆すれば必ず公平となるか?
必ずしも公平とは限らず、土地の評価額に差が出る可能性はあり得ます。
相続人間の共有は絶対ダメ?
将来的なトラブルのリスクが高いです。
相続登記しないといけない?
3年以内に相続登記をする義務があります。

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