不動産の相続税を徹底解説|評価額の算出方法と節税対策を解説

不動産を相続するときに多いお悩みが、
「うちの不動産、相続税はいくらになるの?」
「土地の評価額ってどうやって決まるの?」
「配偶者や子どもが相続すると、控除で減るって本当?」
「相続税だけじゃなく、登記費用もかかる?」
というものです。
相続税は「不動産だけ」にかかる税金ではなく、預貯金なども含めた遺産全体で計算します。
本記事では、不動産の相続税を「仕組み→評価→計算→対策→手続き」の順に、やさしい言葉でわかりやすく整理します。

不動産の相続税を徹底解説|評価額の算出方法と節税対策を解説
菊地 正志

この記事のライター

菊地 正志

江戸川葛西相続法律事務所の代表弁護士。第一東京弁護士会所属。株式や不動産の遺産分割や相続トラブルを得意とする。全弁護士の1%以下しかいない弁護士、税理士、会計士準会員の「トリプルライセンス」を保有している。小学生の頃に水球を始め、そこで培ったタフな交渉力が強み。明治大学法学部卒業・明治大学法科大学院卒業。

不動産の相続税の仕組みと基礎知識

相続税が発生するかの判断基準

まず押さえておきたいのは、相続税は「遺産全体」にかかるという点です。不動産単体の税額が別に決まるわけではありません。計算式は次のとおりです。

  • 課税遺産総額 = 課税価格の合計額(正味の遺産額)- 基礎控除

基礎控除は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人なら
3,000万円+600万円×3=4,800万円
遺産全体が4,800万円を超えると、原則として相続税の申告・納付が必要になります。

なお、相続放棄があっても、基礎控除の「法定相続人の数」は原則として放棄がなかったものとして数えます。
養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで算入という制限もあります。

また、相続では相続税以外にも費用・税金が発生します。特に不動産は相続登記が必要で、登記にかかる税金(登録免許税)も検討が必要です。

【国税庁HP「No.4152 相続税の計算」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
【法務省HP「相続登記の申請義務化について】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
【国税庁HP「No.7191 登録免許税の税額表」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
【SMBC信託銀行HP「相続税の税率と基礎控除」】
https://www.smbctb.co.jp/service/sozoku/hajimete-sozoku/01/

不動産相続税計算の流れ

一般的な計算フローは、大きく3段階です。

ステップ1:課税遺産総額の計算

  • 各人の課税価格を合計し、基礎控除を差し引く
  • 小規模宅地等の特例などがある場合は、特例で減額後の価額で計算します

ステップ2:相続税の総額

  • 課税遺産総額をいったん法定相続分で按分し、税率表(速算表)を当てて算出税額を出し、合計します

ステップ3:各人の納付税額

  • 相続税の総額を、実際の取得割合で按分して、配偶者控除などの税額控除を反映します

【国税庁HP「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の科学の特例(小規模宅地等の特例)」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
【国税庁HP「No.4155 相続税の税率」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
【国税庁HP「No.4158 配偶者の税額の軽減」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

不動産の相続税評価額の算出方法

相続税の計算で多くの方がつまずくのが「不動産の評価」です。

土地の評価:路線価方式と倍率方式

土地の評価方法は主に路線価方式倍率方式です。

1) 路線価方式(路線価がある地域)

  • 路線価=道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額(路線価図で確認)
  • 基本イメージ:
    路線価 × 各種補正率(奥行補正など)× 面積
    形が特殊(奥行きが長い/不整形/角地など)だと補正率で調整されます。


2) 倍率方式(路線価がない地域)

  • 固定資産税評価額 × 評価倍率で評価します
    固定資産税評価額は市区町村で確認します。

【国税庁HP「No.4602 土地家屋の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
【国税庁HP「No.4606 倍率方式による土地の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4606.htm
【国税庁HP「No.4605 地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4605.htm
【HOME4U 土地活用HP「固定資産税評価額の調べ方をやさしく解説 – 課税明細書・台帳・評価証明のどこを見ればよいか分かる」】
https://land.home4u.jp/guide/land-others-77-15649

建物・集合住宅の評価方法

建物(家屋)はシンプルで、原則として
固定資産税評価額 × 1.0=相続税評価額(=固定資産税評価額と同じ)

マンション(区分所有)は、

  • 土地部分:敷地全体の価額×敷地権割合
  • 建物部分:固定資産税評価額

の合計で評価するのが基本です。
(※分譲マンションの評価は近年見直しが入っており、国税庁が「居住用の区分所有財産の評価」への案内もしています。 )

【国税庁HP「No.4602 土地家屋の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
【国税庁HP「No.4667 居住用の区分所有財産の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4667.htm

相続税額の計算と節税対策

課税遺産総額の求め方と税率の適用

課税遺産総額が出たら、次に税率を当てます。ここで重要なのは、税率表を「遺産総額に直接かける」のではなく、いったん法定相続分で按分して速算表に当てる点です。

税率は累進で、国税庁が速算表(税率・控除額)を示しています。
また、課税遺産総額が0円以下なら、原則として相続税申告は不要です(ただし特例適用のため申告が必要なケースは別途確認が必要です)。

【国税庁HP「No.4155 相続税の税率」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

税額控除と特例の種類

代表的な控除・特例は次のとおりです。

配偶者の税額軽減(いわゆる配偶者控除)
配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

のいずれか多い金額までなら、配偶者に相続税がかからない制度です。
※ただし、申告期限までに分割できていない財産は対象外など注意点があります。

未成年者控除・障害者控除などの個別控除は、家族構成で変わるため、江戸川葛西相続法律事務所では事案ごとに整理してご案内します。

【国税庁HP「No.4258 配偶者の税額の軽減」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm 

小規模宅地等の特例で評価額を大幅に減額する

不動産相続の「節税対策」で最重要なものが、小規模宅地等の特例です。

一定の要件を満たすと、対象宅地の評価額を区分ごとの割合で減額します。国税庁は、区分ごとの「減額される割合等」の表を示しています。
(一般的に「居住用宅地は最大80%減額」などが知られていますが、区分・要件・面積上限が細かいので、適用可否は確認が必要です。 )

【国税庁HP「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の科学の特例(小規模宅地等の特例)」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

不動産の相続税対策と注意点

基礎控除を増やす方法と生前贈与の活用

「基礎控除を増やす=法定相続人を増やす」方法として養子縁組が話題になりますが、基礎控除計算で算入できる養子には制限があります(実子がいる場合1人、いない場合2人まで)。
生前贈与については、相続税計算で「加算対象期間」などのルールが絡みます。
(贈与は制度改正の影響も受けやすいので、最新ルールを前提に個別設計するのが安全です。)

賃貸不動産や共有名義による評価額の圧縮

賃貸中の土地・家屋は、権利関係に応じて評価が調整されます。国税庁は、賃貸されている土地・家屋の評価が「権利関係に応じて調整される」ことを示し、貸家建付地の評価方法も個別に案内しています。

また、共有名義にして相続人ごとの取得割合を調整する発想はありますが、共有は将来の売却・管理で揉めやすい面もあるため、税額だけでなく「遺産分割の出口」まで含めた設計が重要です(共有のまま次世代に繰り越すと権利関係が複雑化しやすい、という問題が生じる可能性があります)。

【国税庁HP「No.4614 貸家建付地の評価」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm

相続手続きの流れと登録手数料の注意点

不動産がある相続では、相続税の前提として「名義と権利関係」を整える必要があります。

  • 相続登記は義務化されており、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。
  • 登録免許税(相続による所有権移転登記)は、課税標準(原則、固定資産課税台帳の価格)に対して税率1,000分の4(0.4%)です。

【国税庁HP「No.4152 相続税の計算」】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

まとめ

  • 相続税は「不動産だけ」ではなく、遺産全体で計算します。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人。
  • 不動産の評価は、土地が路線価方式/倍率方式、建物は固定資産税評価額が基本です。
  • 節税の柱は、配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例など。
  • 相続登記は義務化され、登録免許税(相続移転)は原則0.4%です。

江戸川葛西相続法律事務所へ!

不動産の相続税は、「評価」だけでなく、遺産分割(誰が不動産を取得するか)で最終的な税負担や納税資金が大きく変わります。

江戸川葛西相続法律事務所は、東京都江戸川区の東西線・西葛西駅に所在し、不動産を含む遺産分割や相続税を見据えた相続対策に強みを持つ、日本に150人程度しかいない弁護士、税理士、日本公認会計士協会準会員のトリプルライセンスを保有する代表が運営する法律事務所です。

不動産の価格の算定や、不動産の代償分割・現物分割・換価分割等の選択や相続人間の対応など、不動産を含む遺産の相続特有の問題にも豊富な実務経験があります。

相続人間の話し合いが難航しているケースや、相続税の申告から納付までの手続きに不安がある場合も、法的観点から適切にサポートいたします。

不動産を含む遺産の相続でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

よくある質問

不動産があると必ず相続税がかかりますか?
いいえ。遺産全体が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)以下なら、原則として相続税はかかりません。
土地の評価額は「時価(実勢価格)」ですか?
相続税は原則として、国税庁の評価ルール(路線価方式・倍率方式など)に基づく「相続税評価額」で計算します。
配偶者が相続すると相続税はゼロですか?
一定範囲(1億6,000万円または法定相続分相当額まで)なら配偶者の相続税がかからない制度がありますが、申告期限までに分割できていない財産は対象外など条件があります。
相続登記はいつまでに必要ですか?
相続登記は義務化されており、正当な理由なく義務違反があると10万円以下の過料の対象となり得ます。

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