不動産所得税とは? 不動産取得税や譲渡所得税の違い・計算方法と軽減措置を徹底解説!

「家や土地を買った(もらった)」「不動産を売った」「賃貸に出して家賃収入がある」――こうした場面で出てくるのが“不動産に関する税金”です。
一方で、ネット上では「不動産所得税」という言葉が混在しており、
・取得時に払う税金?(不動産取得税)
・家賃収入にかかる税金?(所得税:不動産所得)
・売却益にかかる税金?(所得税:譲渡所得)
・どの手続き(申告)を、いつやるの?
が分かりにくいのが実情です。

この記事では、不動産取得税(地方税)と、所得税(不動産所得・譲渡所得)を整理し、計算方法と軽減措置、手続きの流れをわかりやすくまとめます。

不動産所得税とは? 不動産取得税や譲渡所得税の違い・計算方法と軽減措置を徹底解説!
菊地 正志

この記事のライター

菊地 正志

江戸川葛西相続法律事務所の代表弁護士。第一東京弁護士会所属。株式や不動産の遺産分割や相続トラブルを得意とする。全弁護士の1%以下しかいない弁護士、税理士、会計士準会員の「トリプルライセンス」を保有している。小学生の頃に水球を始め、そこで培ったタフな交渉力が強み。明治大学法学部卒業・明治大学法科大学院卒業。

不動産所得税とは

結論から言うと、「不動産所得税」という正式な税目は一般的ではありません。実務で混同されやすいのは、次の3つです。

よくある呼び方 実際の税金 いつかかる 誰に納める
取得の税金 不動産取得税 不動産を取得したとき 都道府県(地方税)
家賃収入の税金 所得税(不動産所得) 家賃収入がある年 国(国税)
売却益の税金 所得税(譲渡所得) 売却して利益が出た年 国(国税)
  • 不動産取得税は、土地・家屋を取得したときに課税される地方税で、相続による取得は非課税とされています(例外はあり)。
  • 不動産を売ったときの利益(譲渡所得)は、給与などと合算せず分離課税で計算します。
  • 家賃収入(不動産所得)は、原則として「総収入-必要経費」で計算します。

(国税庁HP「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
(国税庁HP 「土地や建物を売ったとき」)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
(国税庁HP「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm 
(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf

不動産取得税の基礎知識

不動産取得税の基礎知識

不動産取得税は、土地や家屋を売買・贈与・交換・新築・増改築などで取得したときに課税される地方税です。 また、一定額未満の物件は「免税点」により課税されない場合があります(例:土地10万円未満など)。

(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf
(三井リハウスHP「不動産取得税」)
https://www.rehouse.co.jp/mtebiki/04/

税率と課税標準

基本式はシンプルです。

  • 税額=課税標準(不動産の価格)×税率

税率は原則4%ですが、住宅・土地については期限付きで3%に軽減される特例があります。国土交通省が、住宅取得に係る不動産取得税の特例(税率3%など)と適用期限(令和9年3月31日まで)を案内しています。

さらに、宅地評価土地については、課税標準が1/2になる特例がある旨を、自治体の案内で確認できます。

※軽減の詳細や申告要否は都道府県ごとに運用差があるため、物件所在地の自治体情報で必ず確認しましょう。

(国土交通省HP「不動産取得税に係る特例措置」)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000020.html
(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf

支払い時期と納付方法

不動産取得税は「毎年」ではなく、原則として取得後に一度課税されます。
納税通知書は、取得後しばらくして都道府県から届き、期日までに納付します。
目安として「取得後6か月〜1年半くらいで通知」されます。

(三井リハウスHP「不動産取得税」)
https://www.rehouse.co.jp/mtebiki/04/

計算例:新築一戸建てのケース

前提:住宅(建物)評価額 1,250万円、税率3%、新築住宅の控除1,200万円が使えるケース

  • 課税標準(建物)= 1,250万円 − 1,200万円 = 50万円
  • 不動産取得税(建物)= 50万円 × 3% = 1万5,000円

※土地部分は「宅地の課税標準の特例(例:評価の1/2)」や控除計算が入ることがあり、条件次第で税額がゼロに近づくこともあります(個別要件の確認が重要)。

(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf

(国土交通省HP「不動産取得税に係る特例措置」)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000020.html 

中古住宅・土地の計算例

  • 平成9年4月1日以後新築 → 1,200万円控除
  • 平成元年4月1日~平成9年3月31日 → 1,000万円控除

【計算例】

前提条件

  • 土地評価額:4,000万円
  • 建物評価額:3,000万円
  • 控除額:1,000万円
  • 税率:3%
  • 宅地の課税標準:評価額×1/2

① 土地
4,000万円 × 1/2 × 3% = 60万円
② 建物
(3,000万円 − 1,000万円)× 3% = 60万円
▶ 合計:120万円

税額がゼロになるケース

  • 建物評価額が控除額以下の場合
    → 課税標準は0円

さらに土地の追加軽減が適用されれば、不動産取得税が0円になることもあります。

(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf

不動産取得税の軽減措置・申請手続き

軽減措置が受けられる条件

軽減の枠組みとしては、「住宅取得の負担軽減目的」「税率3%」「新築は1,200万円控除」等が整理されています。
一方、具体の要件(床面積・耐震等)や書類は都道府県で案内され、物件所在地ベースで確認が必要です。

非課税・特例となるその他のケース

自治体の案内では、相続による取得が原則非課税であること、免税点があることなどが示されています。

(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf

申請手続きと必要書類

軽減措置は「自動で全部反映される」とは限りません。たとえば自治体(県)の案内では、一定の場合に取得から30日以内に申告書等の提出が必要とされています(郵送可なども記載)。
※提出期限・要否は自治体で異なる可能性があるため、必ず物件所在地の都道府県で確認しましょう。

(東京都主税局「不動産取得税」)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/book/fudosan/data/fudosan2024_02.pdf 

不動産譲渡所得税(売却時の所得税)の基礎

計算方法と税率

不動産を売って利益が出た場合の譲渡所得は、国税庁が次の形で整理しています。

  • 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費が分からないときは、国税庁の案内で「売った金額の5%相当額を取得費にできる」取り扱いが示されています。
税率は所有期間で変わります(所得税部分)。

  • 長期譲渡所得:課税長期譲渡所得金額×15%
  • 短期譲渡所得:課税短期譲渡所得金額×30%
    また復興特別所得税(2.1%)が上乗せされる旨も国税庁に明記があります。

(国税庁HP「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm 

特例・控除制度

代表例が「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」です。国税庁は、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円控除できる特例を案内しています。

確定申告の期限(譲渡所得の申告)は、原則として翌年2月16日〜3月15日です。

(国税庁HP「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm 

不動産税金の支払いスケジュールと注意点

不動産に関する税金は、支払うタイミングがバラバラです。

  • 取得時:不動産取得税(数か月後に通知が来ることが多い)
  • 運用時(家賃収入):不動産所得としてその年分を確定申告(必要経費の整理が重要)
  • 売却時:譲渡所得として翌年に確定申告(申告期限あり)

「発生直後にすぐ払う」とは限らないため、資金計画に組み込むのが安全です。

(国税庁HP「No.3102 譲渡取得の申告期限」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm

自分でできる節税対策と専門家への相談

自分でできること(チェックリスト)

  • 取得時:住宅の特例(税率3%・控除等)の対象か確認
  • 取得時:軽減申告が必要な自治体か、期限(例:60日など)を確認
  • 運用時:家賃収入の「必要経費」を領収書・明細で残す(固定資産税、保険料、修繕費等)
  • 売却時:取得費が不明なら「概算取得費5%」も含めて試算
  • 売却時:3,000万円控除など特例の要件を早めに確認

(国税庁HP「No.3258 取得費がわからないとき」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm

弁護士に相談するメリット

不動産の税金は、税率・控除だけでなく、権利関係(名義・共有)や相続・離婚・共有解消などの法律問題と一体になりやすい分野です。
江戸川葛西相続法律事務所では、

  • 共有・持分・売却方針の合意形成(揉める前の整理)
  • 必要書類の整備、手続きの段取り
  • 相続や共有物分割に発展した場合の交渉・調停・訴訟対応

まで、状況に応じてサポートできます。

まとめ

  • 「不動産所得税」という言い方は紛らわしく、実務では不動産取得税(取得時)/所得税(家賃収入)/所得税(売却益)を分けて考えるのが基本です。
  • 不動産取得税は住宅・土地で期限付き軽減(税率3%など)があり、宅地評価土地の課税標準1/2などの特例もあります。
  • 売却益(譲渡所得)は分離課税で、取得費が不明なら概算取得費5%が使える場合があります。
  • マイホーム売却の3,000万円控除など特例は、要件の確認が重要です。

江戸川葛西相続法律事務所へ!

江戸川葛西相続法律事務所は、東京都江戸川区の東西線・西葛西駅に所在し、不動産を含む相続や相続税を見据えた相続対策に強みを持つ、日本に150人程度しかいない弁護士、税理士、日本公認会計士協会準会員のトリプルライセンスを保有する代表が運営する法律事務所です。

不動産の価格の算定や、相続人間の対応など、不動産の相続や売却特有の問題にも豊富な実務経験があります。

相続人間の話し合いが難航しているケースや、税金の申告・納付の手続きに不安がある場合も、法的観点から適切にサポートいたします。

不動産の相続や売却でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

よくある質問

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりますか?
原則として相続による取得は不動産取得税が非課税とされています(例外の扱いは個別確認が必要です)。
家賃収入がある場合、所得税はどう計算しますか?
原則は「総収入金額-必要経費=不動産所得」です。必要経費の例として固定資産税・保険料・減価償却費・修繕費等が示されています。
不動産を売ったときの所得税(譲渡所得)はいつ申告しますか?
資産を譲渡した年の翌年、原則2月16日〜3月15日に申告します。
昔買った不動産で取得費が分からない場合は?
一定の場合、売った金額の5%相当額を取得費として計算できます。

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