株の相続はどうすればよい?遺産分割の流れや注意点について解説
株式を相続する場合、他の財産とは異なる特別な手続きや評価が必要です。この記事では、株式の遺産分割の流...
遺産分割協議を始める際に、多くの方が気にするのが「期限」に関する問題です。「いつまでに遺産分割協議を始めればよいのか?」、「期限を過ぎると何が起こるのか?」といった疑問を抱えることがよくあります。実際、私たちの事務所にもこのような質問をいただくことが多くあります。
この記事では、遺産分割協議に関する期限について詳しく解説し、その上で、遺産分割協議を進める際の重要なポイントについてご紹介します。遺産分割協議をスムーズに進め、将来のトラブルを避けるためにも、ぜひ最後までお読みください。
この記事のライター
菊地 正志
江戸川葛西相続法律事務所の代表弁護士。第一東京弁護士会所属。株式や不動産の遺産分割や相続トラブルを得意とする。全弁護士の1%以下しかいない弁護士、税理士、会計士準会員の「トリプルライセンス」を保有している。小学生の頃に水球を始め、そこで培ったタフな交渉力が強み。明治大学法学部卒業・明治大学法科大学院卒業。
目次
遺産分割協議には法律上の明確な期限が設定されているわけではありません。法的にはいつ遺産分割協議を始めても問題はないとされています。しかし、これが意味するのは「時間が無限にある」ということではありません。むしろ、早めに行動を起こすことが重要です。
まとめ
遺産分割協議に法律上の期限はない。
期限がないからといって、時間を無駄にして良いわけではない。
遺産分割協議はできるだけ早めに行うのが良いです。具体的には、以下のタイムフレームを目安に考えると良いでしょう。
相続の開始から3ヶ月以内は相続放棄ができる期限です。この期間中に相続放棄を行わない場合は相続することを認めたことになります。そのため、そもそも相続をするのか放棄をするのかという話し合いを相続の開始から3ヶ月以内に始めることを推奨します。
相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月です。遺産分割が終わっていなくても申告はできますが、最終的に遺産分割協議により確定した相続分による納税額と最初に申告した時点の納税額との間に差額が生じた場合、その差額部分には延滞税が発生してしまいます。そのため、相続開始から10ヶ月以内に遺産分割協議を完了している方が申告手続きがスムーズに進みます。
2024年4月1日から、相続が発生して不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました。仮に3年以内に遺産分割協議がまとまらない場合、3年以内に法定相続分に従った内容で相続登記をし、最終的に遺産分割協議がまとまったあとに再び遺産分割協議の内容に従った内容で登記をする必要があるので2度も登記手続きを行わなければなりません。そのため、そのような費用と手間を避けるためには3年以内に遺産分割協議を成立させる必要があります。
相続開始後10年を経過すると、遺産分割協議において特別受益と寄与分の主張ができなくなります。特別受益と寄与分は、遺産分割協議において自己の相続分を多く主張することができる権利です。そのため、特別受益と寄与分の主張をするためには、10年以内に遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議をスムーズに進めるためには、専門家の助けを借りることが最も効果的です。遺産分割協議の進め方を間違ってしまうと、感情対立が激しくなり遺産分割協議をまとめることが難しくなってしまいます。特に、相続税や家族間の複雑な関係が絡む場合、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士に相談することで、適切なアドバイスを受けることができ、安心して協議を進めることができます。
遺産分割協議に法律上の明確な期限はありませんが、遅延すると様々なリスクが生じる可能性があります。早めに行動を起こし、特に3ヶ月、10ヶ月、3年、10年のタイムフレームを意識することが重要です。そして、最も大切なのは、専門家である弁護士に相談することです。弁護士のアドバイスを受けることで、円滑に遺産分割協議を進めることができます。