遺産分割調停にかかる費用について。弁護士に依頼する際の費用とメリットについて解説!
遺産分割調停は、相続人間で意見が対立した場合に家庭裁判所を通じて解決を図る手続きです。調停を申し立て...
葬儀は大切な故人を送り出す儀式ですが、同時に費用も発生します。特に相続手続きにおいて、葬儀費用がどのように扱われるのか理解しておくことは重要です。本記事では、葬儀費用に関する基本的な知識から、相続財産と税務申告における具体的な手続きまでを解説します。
この記事のライター
菊地 正志
江戸川葛西相続法律事務所の代表弁護士。第一東京弁護士会所属。株式や不動産の遺産分割や相続トラブルを得意とする。全弁護士の1%以下しかいない弁護士、税理士、会計士準会員の「トリプルライセンス」を保有している。小学生の頃に水球を始め、そこで培ったタフな交渉力が強み。明治大学法学部卒業・明治大学法科大学院卒業。
目次
一般的な葬儀費用の金額は、葬儀の規模や地域、内容によって異なりますが、以下が一般的な目安です。
日本国内の葬儀にかかる総額は110万円前後といわれています(株式会社鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」https://www.e-sogi.com/guide/46028/#1107)葬儀費用は原則として喪主が負担します(東京地裁昭和61年1月28日判決)。
相続税の計算において、葬儀費用は控除可能な費用として扱われます(相続税法基本通達13条 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/03.htm)。これは、故人の遺産を正確に評価するための仕組みです。ただし、全額控除されるわけではなく、対象となる費用には条件があります。
控除対象となる葬儀費用には、以下が含まれます。
・葬儀場の使用料
・火葬や埋葬、納骨にかかる費用
・お布施や読経料
・遺体の搬送費
これらは故人を送るために必要な費用として認められます。
(国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm)
一方、以下のような費用は控除対象外です。
・香典返しや会食費用
・喪服や装飾品の購入費
・遠方の親族の交通費
これらは「葬儀の付随的な費用」とされ、税法上の控除対象にはなりません。
葬儀費用を控除するには、領収書や請求書を保管することが必要です。これらは税務署への提出書類として使われ、費用の正当性を証明するための重要な証拠になります。(相続税申告書 別表第13表
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r01pdf/59.pdf)
葬儀費用の総額を確認し、控除対象の項目を精査する。
領収書を基に、相続財産から控除できる額を計算する。
相続税申告書に必要事項を記入し、税務署に提出する。
(国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r01.htm)
控除後の相続財産を基に課税価格を算出します。基礎控除額(3,000万円 + 相続人1人当たり600万円)を超える場合、その差額に対して税率が適用されます(国税庁「No.4152 相続税の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm)。正確な計算には税理士のサポートを検討するのもよいでしょう。
葬儀費用は相続税において重要な役割を果たします。控除可能な費用を正確に把握し、適切に申告することで、相続税負担を軽減することができます。領収書の保管や申告手続きの理解を徹底し、専門家の力を借りながらスムーズに進めましょう。